2009年7月4日土曜日

アメリカ人のプレゼン能力

アメリカ人はプレゼン能力が高いと
日本から来た人は口をそろえていいます。
僕もそういうことを口にしている一人ですが、
その理由が良くわかりました。


どうしてプレゼン能力が高いのかと人に聞いてみると、
アメリカに来た日本人からは
アメリカでは教育の一環でプレゼンをする機会を沢山用意してある
という答えが返ってきます。


一方、アメリカであった日本人研究者に聞くと
アメリカでは自分から教授にコンタクトを取らないと相手にされない
という答えが返ってきます。


今までこういう答えを聞いても
「ふーん、そんなもんかなぁ。それなら僕の研究室もそうだけどなぁ」
と思っていたのですが
ようやくアメリカであった日本人研究者の言葉が理解できました。


アメリカ人はプレゼンをせざるを得ない状況にいるのです。


例えば、日本の場合研究室に配属されると
先生から指導を受けたり先輩に助けてもらったりしながら
研究を進めていきます。

自分が何もしなかったとすると、
どうして何もしないんだ、卒業させないぞといいつつも
しっかり世話を焼いてくれます。

一方、アメリカの場合研究室に配属されると
自分から動かなくてはなりません。
やりたい研究をするために教授にミーティングをお願いしたり、
やりたい実験をするためにできる人を見つけてコンタクトを取ったり、
英語を勉強するための授業を探すためにいろんな人に話したり、
自分が動けば回りは助けてくれますが、
何もやらなければ何もしてくれません。

そのため、自分がやりたいことをするために
プレゼンをするというのは必須なことなのです。
そして、相手を巻き込むことになると
相手がポジティブになるくらいのプレゼンをしないといけないわけです。

これを考えると、
日本はものすごく恵まれた環境です。

言わなくても察する文化やお互いの間に流れる常識というものがあります。
だから、アピールをしなくても快適に過ごすことができます。

おそらく、顧客満足(CS)を追求した結果生まれたものでしょうが、
最近のホテルやレストランのサービスなんてものすごいものを感じます。

でもこういうのって、
世界標準から言うと行き過ぎたもので
日本人が世界に出たときアピールが下手だといわれる原因の一つを
作っているのかもしれません。
(もちろんこういう素晴らしいサービスを否定しているのではないです)

最高の環境を作れば、
人は育つと考えることは多いですが、
一概にそうとも言えないなと思います。

P.S.
O大からT大に移ったときの設備のすごさに感動した一方で
自分で手を動かすことの少ないことに
なぜかマイナスも感じた感覚がクリアになった気がしました。

この感覚は便利になることで今まで考えていたことと違うことを考えるようになるということですね。
実験のための設備を自分で組み立てることは、
一から勉強するのにいいですし、そこから見つかる発見も多いです。
でも、信頼性の高い実験やより先端の研究結果を出すためには最新の設備が大事になります。

歩いて異国をめぐるのと車で異国をめぐるのと同じような感じで
見える景色が違うのでしょう。

4 件のコメント:

GO さんのコメント...

日本人がよく勘違いしていることに「アメリカ人は生まれもってプレゼン能力が高い」というのがありますが、アメリカ人もちゃんと訓練されてプレゼン能力がついているという事実を日本人は知るべきですね。アメリカの下等教育では小さいころからプレゼンする機会を与えられますし、それが教育の一環となっています。それが大学レベルでのすばらしいプレゼン能力となっているわけです。単に文化のせいにしてプレゼン能力がないからどうしたと開き直るのは日本人の悪い傾向です。

ittadao さんのコメント...

> Goさん
ということは、教育システムが一番の原因ということなのでしょうか。僕の中では、教育も含めて機会がものすごく多いしそれが必須なために、プレゼン能力が育っていくということと思っています。
アメリカの下等教育などについては良くわかっていないもので。なにかプレゼン能力を上げるために、機会を用意する以外に何かしているのでしょうか?

MS さんのコメント...

ittadaoさん

SCSNで声を掛けさせて貰ったSです。コメントしようしようと思いつつ、なかなか機会がつかめませんでした。ちょっと前までなかなか忙しかったもので…
ところでプレゼンですが、小学校の低学年から"Show and Tell"と言って人前で話すという授業が普通に行われてます。高学年でももちろんやっていると想います。でも百人が百人うまいかというとそうでもなく、また、プレゼンが好きな人もそうはいない、ということで、ある程度トレーニングと経験を積めばなんとか太刀打ちできるようになる、のかもしれません(笑)
あと少しでしょうが、楽しんで帰って下さいね。

ittadao さんのコメント...

> MSさん
コメントお待ちしていました。
ありがとうございます。今回だけといわずに、ぜひこれからもお願いします。

さて、プレゼンのトレーニングですが、そういう機会があるというのは良く耳にするのですが、実際何か特別なトレーニングをしているのでしょうか?自分なりにプレゼンを工夫して、それを先生が評価するというものなのでしょうか?
自分なりの工夫は場数と比例すると思いますが、先生の評価となると先生の質が生徒のプレゼン能力に大きく影響を与えてしまいますよね。
何か知っていることがあればぜひ教えてください。そういうことを知りたかったので。よろしくお願いします。